建設業の請求書は、 常用 (人工) か出来高・請負かで書き方が変わります。 適格請求書 (インボイス) の必要項目、 常用・出来高・一人親方それぞれの記載例、 消費税の端数処理や源泉徴収の注意点まで、 記載例つきで実務に沿って解説します。
建設業の請求書に、 法律で定められた「決まった書式」 はありません。 A4 縦・横、 Excel・手書き・専用システムのいずれでも構いません。 ただし 適格請求書 (インボイス) として発行する場合は、 定められた記載事項をすべて満たす必要があります。 満たしていないと、 受け取った元請け側が仕入税額控除を受けられない (=実質的な値引き交渉の火種になる) ため、 建設業では特に重要です。
上記に加えて、 適格請求書には次の項目が必要です。 太字が一般の請求書に「追加で」 求められる部分です。
建設工事は原則 10% の標準税率のみで、 軽減税率 (8%) の対象になることはほとんどありません。 それでも「10% 対象 〇〇円/消費税 〇〇円」 のように 税率と消費税額を明示するのがインボイスの肝です。
制度そのもの (適格請求書発行事業者の登録、 T 番号の確認方法、 免税事業者との取引、 経過措置など) は 建設業のインボイス (適格請求書) 対応 完全ガイド で詳しく解説しています。 本記事は「書き方・記載例」に絞ります。
常用 (じょうよう) とは、 「人工 (にんく) 単価 × 人数 (または日数)」 で報酬を計算する働き方です。 仕事の完成に対してではなく、 投入した労働量 (人日) に対して支払われるのが特徴です。 応援・手間請け・日雇いに近い形態でよく使われます。
※金額は現場・地域・職種で異なるため、 下表の数値はあくまで記入位置を示す「例」です。 実際の単価に置き換えてください。
| 品目 (工事名・作業内容) | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 〇〇邸 内装工事 常用 (大工) | 5 | 人工 | (例) 単価/人工 | (例) 小計 |
| 〇〇邸 内装工事 常用 (手元) | 3 | 人工 | (例) 単価/人工 | (例) 小計 |
| 小計 (税抜) | (例) | |||
| 消費税 (10%) | (例) | |||
| 合計 (税込) | (例) | |||
常用は「作業したのに人工数を巡って揉める」 ことが起きがちです。 誰が・いつ・何人・何日入ったかを出面で残し、 請求の人工数と一致させておくのが最大のトラブル防止策です。
出来高 (できだか)・請負は、 「仕事の完成・進捗」 に対して金額を決める形態です。 常用が「人 × 日」 で積み上げるのに対し、 こちらは工事費 (総額) や単位あたりの数量で計算します。
※数値は記入位置を示す「例」です。
| 品目 (工事名・作業内容) | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 〇〇ビル 塗装工事 (外壁) | 120 | ㎡ | (例) 単価/㎡ | (例) 小計 |
| 〇〇ビル 防水工事 (屋上) | 1 | 式 | (例) | (例) 小計 |
| 追加工事 (下地補修) | 1 | 式 | (例) | (例) 小計 |
| 小計 (税抜) | (例) | |||
| 消費税 (10%) | (例) | |||
| 合計 (税込) | (例) | |||
| 観点 | 常用 (人工) | 出来高・請負 |
|---|---|---|
| 報酬の基準 | 投入した人日 (人 × 日) | 完成・進捗・数量 |
| 単位 | 人工 (にんく) | 式・㎡・m・箇所・総額 |
| 請求の根拠 | 出面表・作業日報 | 出来高調書・査定書・契約書 |
| リスク | 人工数の食い違い | 数量・追加工事の認識ずれ |
どちらで契約すべきかで迷う場合は 常用と請負の違い|どちらで契約すべきか も参考にしてください。
一人親方 (個人事業主) が元請け・上位の協力会社に出す請求書も、 記載事項の考え方は法人と同じです。 特有のポイントを押さえておきましょう。
一人親方としての外注・受注全般の注意点は 一人親方への外注|契約・請求・インボイスの注意点 にまとめています。
インボイス制度では、 1 つの請求書につき、 税率ごとに 1 回だけ端数処理を行うのがルールです。 明細行ごとに消費税を計算して切り上げ・切り捨てを繰り返すのは認められません。
前述のとおり、 建設業の工事代金 (請負・常用の労務) は原則として源泉徴収の対象外です。 個人への「報酬・料金」 に当たる特定の業務のみが対象になります。 判断に迷う取引は、 支払者側・税理士に確認してください。
建設業の請求書は、 Excel の雛形 (テンプレート) で作っている会社が今も大半です。 手軽ですが、 件数が増えると次のような限界が見えてきます。
| Excel 雛形でありがちな問題 | 結果 |
|---|---|
| 登録番号や税率別消費税の記載漏れ | インボイスとして不備・修正の手戻り |
| 明細行ごとに消費税を計算してしまう | 端数処理ルール違反・金額のズレ |
| 案件・出面データを手で転記 | 人工数・数量の写し間違い |
| ファイルが個人 PC に散在 | 控えの管理・再発行が煩雑 |
| PDF 化・送付を手作業 | 送り漏れ・遅延 |
特に建設業は、 案件 → 手配 → 作業報告 → 請求という一連の流れがあります。 ここが分断され、 最後の請求だけ Excel で手入力していると、 数量・人工・追加工事の転記ミスが起きやすくなります。 案件データからそのまま請求書を作れる仕組みにすると、 記載漏れと転記ミスを根本から減らせます。
協力会社手配アプリ「工事依頼くん」 は、 案件登録から協力会社への依頼・受諾・作業報告までを一画面で管理でき、 そのまま適格請求書 (インボイス) 対応の請求書 PDF を自動生成できる PWA です。 請求だけを別の Excel に手入力し直す必要がありません。
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無料で始める →A. 法律で定められた決まった書式はありません。 ただし適格請求書 (インボイス) として発行する場合は、 登録番号・税率別の対価の額・税率ごとの消費税額など、 定められた記載事項をすべて満たす必要があります。 記載事項さえ満たせば、 Excel・手書き・専用システムのいずれで作成しても有効です。
A. 品目欄に工事名・作業内容を書き、 単位を「人工 (にんく)」 として「人工単価 × 人数 (または日数)」 で金額を計算します。 例: 「〇〇邸 内装工事 常用」 単価 (例)/人工 × 人数 = 小計、 のように記載します。 断定的な金額は現場ごとに異なるため、 自社の単価に置き換えてください。
A. 適格請求書発行事業者として登録している一人親方は、 請求書に登録番号 (T + 13 桁) を記載します。 登録していない (免税事業者の) 場合は登録番号は記載できません。 会社名の欄は屋号や個人名でも問題ありません。